2014年12月31日

大滝詠一 / ナイアガラ・ムーン (1975)

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72年の1stソロから3年。はっぴいえんど解散、自身主宰レーベルの始動、シュガー・ベイブとの邂逅、サイダーCMへの参画など、本作が世に出る土壌と舞台が少しずつ蓄積されての一代音楽絵巻。ここにあるのは、言葉遊び、ユーモア、ナンセンス、毒気、米国ポップスへの憧憬など、尻込みしてしまうほど詰め込まれた知的音楽イズム。多彩なゲストも揃えた緻密な音像の中で際立つのは、細野晴臣、林立夫、鈴木茂、佐藤博という、キャラメル・ママとハックルバックの混成布陣による強力な屋台骨。「ロックン・ロール・マーチ」などニューオーリンズテイストも注がれたリズムのマジックには、平熱を装いながらも込み上げる高揚の居座りがある。生ピアノで占められた鍵盤音色の中、佐藤博が唯一エレピで迫る「シャックリ・ママさん」では、同年世に出る鈴木茂『バンド・ワゴン』にも通じる疾走感あふれる軽妙なファンクネスにウーリッツァーのゆらめきがアクセントとなってやわらかく佇んでいる。アルバム生誕から40年。後追い世代の僕らに永遠の謎解きを課した“ナイアガラ”の歴史に通低する、想像力を掻き立てる音楽力を、フィジカルなバンドサウンドとともに結実させた潔さが実にうれしい。輝く月に照らされたシルエットはずっと揺れ続いている。


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2014年12月22日

Faze-O / Riding High (1977)

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ビリー・ベックをはじめとしたオハイオ・プレイヤーズ人脈の楽曲提供と制作協力を得たデビュー作。冒頭を飾る「Riding High」で浮遊感たっぷりながら重みあるメロウネスが奏でられたかと思いきや、続く「Funky Reputation」で聴ける腰の据わったオハイオ流ファンクネスを目の当たりにすると安心感と高揚感が一気に加速。その後もホーンセクションのアクセントともども、メロウとファンクを交互に織り交ぜながら進む甘辛展開が全編に待ち受ける。そこにとろけるキース・ハリソンのエレピは、シンセやクラヴィネットなど重層的なキーボード群の音色にスルリと溶け合いながら存在感を発揮。ダンスチューンとしてリピートするリズムに彩りを添える役割のみならず、彼ら流ファンクネスに欠かせないマテリアルであることの意思表明が、クールな意匠をまといながらも有無を言わさぬ熱量でグルーヴの隙き間に佇んでいる。





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2014年12月10日

Char / Char (1976)

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代名詞的名曲「Smoky」を含む1stアルバム。「Shinin' You, Shinin' Day」などメジャー7thやマイナー9thコードによるメロウネスや、日本語と英語が混在する歌詞世界など、ここにあるのはステレオタイプなロックギタリストのイメージとは異なる音楽観。富士山をあしらったアルバムジャケットを含め、確信に満ちたアグレッシヴな感性のはみ出しが、いまなお新鮮な輝きを放っている。なかでもジェリー・マーゴシアンと佐藤準の鍵盤奏者二人の参加は見逃せないファクター。特に「Smoky」中盤で奏でられる、ストリングス隊を模したシンセサウンドの空間演出に寄り添う佐藤準のエレピは、抑制された一体感と高揚するスリルを誘発。裏打ちオープンハイハットとユニゾンするキレのあるイントロ、グルーヴ感溢れるリズム隊、印象的なメロディラインのクレバーなギターなど際立つプレイの数々に加え、静かな風貌の鍵盤ワークと多彩なアレンジが、名演の深みを一層増幅させていると信じたい。


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