2015年09月16日

弘田三枝子 / Step Across (1978)

MiekoHirota_StepAcross_200.jpg

リチャード・デイヴィスが指揮をとるCBS移籍後初の一枚。オーソドックスなスタイルのジャズを聴かせる前半のムーディな艶やかさもさることながら、後半リズミカルに軽妙なグルーヴを聴かせるジャズファンクの晴れやかさときたら。細かなリズムをタイトに刻むビリー・コブハムのドラミングや、ジョー・ファレルと日野皓正の管楽器隊も、安定と奔放を行き来する主役の歌声を後押しする見事な仕事ぶりで、そこにやわらかな彩りを添えるのがスタンリー・カウエルのエレピ。ガーシュインの「A Foggy Day」で全編流れる浮遊感たっぷりのカウエルのエレピは、リズムを積み重ね大きな鼓動を描くコブハムの多彩なドラムさばきと相まって霧の晴れた楽園的視界を開いていく。両手を拡げたアルバムジャケットのイメージにも重なる、宙を舞う翼を携えた躍動が実に素晴らしい。


posted by ウエヤマ at 00:44| Comment(0) | エレピ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月30日

LaMont Johnson / Nine.... A Mystical, Musical Allegory (1976)

LamontJohnson_Nine_200.jpg

自身のレーベルMasterscoresからリリースした鍵盤奏者のソロアルバムは、冒頭を飾る「Benign Beginning」から躍動感に満ちたジャズファンクがズラリ。12分を超す長丁場の表題曲「Nine」で聴ける、チャック・レイニーのアグレッシヴなベースと、ンドゥグ・チャンスラーのキレのあるドラミングによるビートを下支えに描かれる主役ジョンソンの軽快なエレピは、ブルー・ミッチェルが高らかに宙を割くホーンのバトンを受け、幾重にも変化するストーリーの点をつなぐバンドアンサンブルの角々しい円弧を、重量級の高揚に転化しながら奔走。高いテンションをキープする縦横無尽の躍動を携えた9つの寓話に、グルーヴの泉が沸々と湧きながら紡がれていく。


posted by ウエヤマ at 00:49| Comment(0) | エレピ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年02月01日

Nat Adderley Septet / Don't Look Back (1976)

NatAdderleySeptet_DontLookBack_200.jpg

デンマークのSteepleChaseレーベルに残された、7人編成名義によるアダレイ渾身のジャズファンク。管楽器も含めた各パートのバランスもとりつつ硬軟自在のグルーヴを演出する司令塔ぶりもさすがの一言で、ジャズテイストに仄かなソウルフィーリングも香る躍動のバラエティが静かに熱量を蓄積しながら高揚をいざなう。なかでも、ドラマーとして参加したバディ・ウィリアムス作「K High」での端正な表情で迫るオナージュ・アラン・ガムスのエレピは、クラビネットともシンコペーションしながら重厚になり過ぎないアンサンブルのグルーヴに貢献。ハロルド・ヴィック作のアルバムタイトル曲の選曲には、前年世を去った兄キャノンボールへの追悼と前進への決意もにじむ。同年リリースされ同じメンバーも起用されたアダレイ名義『Hummin'』も必聴のグルーヴが満載。


posted by ウエヤマ at 00:31| Comment(0) | エレピ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月16日

Ernest Ranglin / Ranglypso (1976)

ErnestRanglin_Ranglypso_200.jpg

自身の名前とカリプソをもじったジャマイカンらしい造語タイトルや、ジョー・パスのMPS盤『Intercontinental』に参加したリズム隊、ケニー・クレア、エバーハルト・ウェーバーの起用など、ここに覗きみえるのは、ブルースやジャズのフィーリングを武器にリスペクトとチャレンジを注いだラングリン流ギタースタイルの意思表明。加えて、全編モンティ・アレキサンダーのエレピが堪能できるという点では、モンティの74年作『Rass!』で意気投合したラングリンが、自身名義で世に問う続編的表裏関係の意欲作でもある。同時期に同じメンバーで録音され一足先となる75年にリリースしたモンティ名義の共演盤『Love And Sunshine』では生ピアノで挑んだロバータ・フラックの「Feel Like Making Love」を、ここではエレピに置き換え料理。スタイリスティックスの「You Make Me Feel Brand New」でも、艶やかに音階を上下しながら高揚を誘うラングリンのギターとのメロウな調和には、スパイスに頼らないガッツあふれる旨味が宿っている。


posted by ウエヤマ at 00:44| Comment(0) | エレピ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月09日

Monty Alexander Featuring Ernest Ranglin / Rass! (1974)

MontyAlexander_Rass_200.jpg

70年代、西ドイツMPSに多作を残すジャマイカ出身のピアニストが、同郷のギター奏者アーネスト・ラングリンを迎えた一枚。カリビアンなテイスト香る「Jimbo」のほか、アル・グリーンの「Let's Stay Together」や「Love And Happiness」などの時代に即したソウルナンバーのポップな色合いにジャズマインドを注いだ晴れやかな軽妙さが粋。派手さを抑えたリズム隊のアンサンブルも手伝って、オクターブ奏法も駆使しながら箱モノ特有の甘くふくよかなトーンで迫るラングリンの深みあるギターワークと、熱量を持たせ過ぎない主役モンティのとろけるフェンダーローズとが、饒舌なれど残響音少ない、やわらかいタッチの強弱によるメロウネスたっぷりな淡い音空間を演出。コンパクトに凝縮されたゆるやかなグルーヴには、二人の描く一音一音が濃密な輪郭で浮かび上がるという対話の阿吽がある。以後も続く視界のひらけた間合いが実に清々しいのだ。


posted by ウエヤマ at 00:46| Comment(0) | エレピ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月04日

Pink Floyd / Animals (1977)

PinkFloyd_Animals_200.jpg

新年あけました。

今年の干支「羊」にちなんで、
まずはピンク・フロイドのこれ!
「Sheep」、リック・ライトのエレピ!

というわけで、
こんばんは、音盤話。
今年もいろんな音楽に出会えますように。

どうぞよろしくお願いします。

ウエヤマシュウジ


posted by ウエヤマ at 00:47| Comment(0) | エレピ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月31日

大滝詠一 / ナイアガラ・ムーン (1975)

EiichiOhtaki_NiagaraMoon_200.jpg

72年の1stソロから3年。はっぴいえんど解散、自身主宰レーベルの始動、シュガー・ベイブとの邂逅、サイダーCMへの参画など、本作が世に出る土壌と舞台が少しずつ蓄積されての一代音楽絵巻。ここにあるのは、言葉遊び、ユーモア、ナンセンス、毒気、米国ポップスへの憧憬など、尻込みしてしまうほど詰め込まれた知的音楽イズム。多彩なゲストも揃えた緻密な音像の中で際立つのは、細野晴臣、林立夫、鈴木茂、佐藤博という、キャラメル・ママとハックルバックの混成布陣による強力な屋台骨。「ロックン・ロール・マーチ」などニューオーリンズテイストも注がれたリズムのマジックには、平熱を装いながらも込み上げる高揚の居座りがある。生ピアノで占められた鍵盤音色の中、佐藤博が唯一エレピで迫る「シャックリ・ママさん」では、同年世に出る鈴木茂『バンド・ワゴン』にも通じる疾走感あふれる軽妙なファンクネスにウーリッツァーのゆらめきがアクセントとなってやわらかく佇んでいる。アルバム生誕から40年。後追い世代の僕らに永遠の謎解きを課した“ナイアガラ”の歴史に通低する、想像力を掻き立てる音楽力を、フィジカルなバンドサウンドとともに結実させた潔さが実にうれしい。輝く月に照らされたシルエットはずっと揺れ続いている。


posted by ウエヤマ at 00:50| Comment(0) | エレピ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月22日

Faze-O / Riding High (1977)

Faze-O_RisingHigh_200.jpg

ビリー・ベックをはじめとしたオハイオ・プレイヤーズ人脈の楽曲提供と制作協力を得たデビュー作。冒頭を飾る「Riding High」で浮遊感たっぷりながら重みあるメロウネスが奏でられたかと思いきや、続く「Funky Reputation」で聴ける腰の据わったオハイオ流ファンクネスを目の当たりにすると安心感と高揚感が一気に加速。その後もホーンセクションのアクセントともども、メロウとファンクを交互に織り交ぜながら進む甘辛展開が全編に待ち受ける。そこにとろけるキース・ハリソンのエレピは、シンセやクラヴィネットなど重層的なキーボード群の音色にスルリと溶け合いながら存在感を発揮。ダンスチューンとしてリピートするリズムに彩りを添える役割のみならず、彼ら流ファンクネスに欠かせないマテリアルであることの意思表明が、クールな意匠をまといながらも有無を言わさぬ熱量でグルーヴの隙き間に佇んでいる。





posted by ウエヤマ at 00:28| Comment(0) | エレピ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月10日

Char / Char (1976)

Char_ST_200.jpg

代名詞的名曲「Smoky」を含む1stアルバム。「Shinin' You, Shinin' Day」などメジャー7thやマイナー9thコードによるメロウネスや、日本語と英語が混在する歌詞世界など、ここにあるのはステレオタイプなロックギタリストのイメージとは異なる音楽観。富士山をあしらったアルバムジャケットを含め、確信に満ちたアグレッシヴな感性のはみ出しが、いまなお新鮮な輝きを放っている。なかでもジェリー・マーゴシアンと佐藤準の鍵盤奏者二人の参加は見逃せないファクター。特に「Smoky」中盤で奏でられる、ストリングス隊を模したシンセサウンドの空間演出に寄り添う佐藤準のエレピは、抑制された一体感と高揚するスリルを誘発。裏打ちオープンハイハットとユニゾンするキレのあるイントロ、グルーヴ感溢れるリズム隊、印象的なメロディラインのクレバーなギターなど際立つプレイの数々に加え、静かな風貌の鍵盤ワークと多彩なアレンジが、名演の深みを一層増幅させていると信じたい。


posted by ウエヤマ at 00:33| Comment(0) | エレピ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年09月14日

Joe Sample / Rainbow Seeker (1978)

JoeSample_RainbowSeeker_200.jpg

クルセイダーズの活動と並行してリリースされた70年代最初のソロ作。スティックス・フーパーやロバート・ポップウェルら同胞のバックアップにより、アルバム表題曲や「There Are Many Stops Along The Way」で聴けるゴツゴツとしたクルセイダーズ的ファンクネスの軽妙グルーヴと、「Melodies Of Love」など叙情的で絵画的なメロディ世界が、音楽的土壌の多彩さで紡がれ違和感なく一体化。デヴィッド・T・ウォーカーのギターと会話するかのごとく奏でられるエレピが印象的な「In All My Wildest Dreams」の包容力に、懐深い鍵盤奏者の矜持が覗く。そこにあるのは“天才肌”の一言では片付けたくない、ほとばしる熱量の音楽愛に満ちた人間力。虹を求め続ける音楽家はいつだってソウルフルでロマンティストだ。

----

タッチ、メロディ、ファンクネス。
聴き心地の良さだけでなく、
根底に流れる力強い音楽力を、
描かれる旋律を通して感じさせてくれる、
数少ないピアニストでした。
変化を厭わず、
ずっとずっと前進を続けた音楽家だと思います。

クルセイダーズの来日公演で
フェンダーローズとウーリッツァーを奏でる姿は
今でも忘れられません。

ご冥福をお祈りします。
May his soul rest in peace, Mr. Joe Sample



posted by ウエヤマ at 00:23| Comment(0) | エレピ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月11日

Duke Ellington / Second Sacred Concert (1968)

DukeEllington_SecondSacredConcert_200.jpg

抜群のスウィングにソウルフィーリングが溶け合った、ビッグ・バンドとゴスペル隊による豪華絢爛大所帯の響宴。楽曲ごとにシンガーやソロイストを適所でフィーチャーしながら、神聖な佇まいに軽やかな鍵盤で優雅に指揮をとるエリントン。「Something About Believing」や「It's Freedom」でなぜか起用されたエレピの音色も、厚みあるバンドアンサンブルにそっと存在感を残す活躍ぶり。圧巻はスウェーデンの歌姫アリス・バブスと二人だけで演じる「T.G.T.T.」。バブスの澄みきった歌声と優雅に響くエリントンのエレピが描く神秘的な対話は、息を飲む荘厳さと柔らかな心持ちを体中で受け止めたくなる美しさだ。


posted by ウエヤマ at 00:12| Comment(0) | エレピ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年03月26日

Bobby Jones / The Arrival Of Bobby Jones (1972)

BobbyJones_TheArrivalOfBobbyJones_200.jpg

リチャード・デイヴィスのランニングベースが強烈な高速ジャズナンバー「Thanks To Trane」で幕を開けるサックス奏者ボビー・ジョーンズのコブルストーン盤は、生ピアノにウッドベース、ブラシドラムをバックに従え、コントラストの強いサックスの調べが舞うニューヨークジャズ。ムードある緊張が支配する佇まいに、突如として円やかに立ち現れるのが「Stone Bossa」や「Keepin' Up With Jones」で聴けるボブ・ドロウのエレピ。ソフトで淡い鍵盤タッチの電気音が、スイングするビートに巧妙に溶け込み柔らかな音空間を演出。生楽器による精悍な土台の上に、思わず頬がゆるむ遊び心やユーモアのかけらを、あしあとを残すかのように奏でるドロウのプレイは、場の空気を一変させるエレピの包容力とともに、端々からにじみ出る小粋な人間力をも強く印象づける。


posted by ウエヤマ at 00:37| Comment(0) | エレピ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年01月05日

George Harrison / Dark Horse (1974)

GeorgeHarrison_DarkHorse_200.jpg

自身がスタートするレーベル名にもなったタイトルを冠し、L.A.エクスプレスら腕利きをも起用した意欲作。同年リリースされたロン・ウッドの『I've Got My Own Album To Do』にも収録されたロニーとの共作曲「Far East Man」は、ジョージとロニーがそれぞれ互いのバージョンにも参加し、いずれもウィリー・ウィークスとアンディ・ニューマークのリズム隊をバックに演じた交友の記録。メロウで切なくブルースフィーリングの効いたロニー版に対し、軽妙でリズムコンシャスながらもポップな印象を残す本作収録版は、清々しさに満ちたトム・スコットのサックスと、揺れのない乾いたトーンで淡々と奏でられるビリー・プレストンのエレピが、ロニー版でつづられるスライドギターと対比的に、軽やかな彩りを添える。コンセプトや指向がどんなに異なっても、往復書簡のごとくエールを交わしあった二人をつなぐこの1曲がある限り、趣きはいつだってエヴァーグリーンだ。

----

ちょいと遅くなりましたが、
あけましておめでとうございます。

新年最初ということでこの一枚を。

「Far East Man」は、
最初にロニー版を聴いて瞬時に大好きになった、
今でもとっても大切な一曲で。
軍配はジョージ版よりロニー版で。

でも、
久しぶりに聴いたジョージ版は、
意外なほどリズム隊が際立っていたり、
サックスの音色が彩りあることに気がついたり、
以前と違った味わいで、
ずっと挙がっていたまんまだった軍配が、
自然と降ろされることになったりして。

よく聴いて「わかっていた」気になっていた楽曲が、
ふと違って聴こえてきたりする感覚が
不思議と多くなってきたような気がします。

Dark Horse生誕40周年の今年。
そしてそして、
数多くの名演が残された恐るべき1974年から40年という
アニヴァーサリーな今年。
きっといろんな「40周年」があちこちで語られるんだろうなあ。

そんなわけで、
こんばんは、音盤話。
今年もいろんな音楽に出会えますように。

どうぞよろしくお願いします。

ウエヤマシュウジ





posted by ウエヤマ at 00:25| Comment(0) | エレピ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年10月25日

南佳孝 / 忘れられた夏 (1976)

YoshitakaMinami_Wasureraretanatsu_200.jpg

気だるさの中にあるスタイリッシュな風貌。歌声には、トロピカルなテイストやブルースフィーリングを構え過ぎない姿勢でスッと体に馴染ませる演奏陣の洒脱も手伝って、やわらかくセンシティヴな感性があふれる。そこにあるのは、ダンディズムの一言で片付けたくはない、研いだ眼差しで見つめる音楽風景。エンディングで遠慮がちに奏でる「これで準備OK」のキレのある音色をはじめ、多彩なシンセサウンドの横でひっそりと佇む「ジャングル・ジム・ランド」でのバッキング、少し恥ずかしそうな表情でラテンの香りを抑制する「月夜の晩には」でのアプローチなど、主役の佇まいを損ねない佐藤博のエレピが、サウンドの熱量を表情豊かに上げ下げする。クールダウンする「静かな昼下がり」で聴ける、マイルドな表情をまといながらも芯の通った一音一音に、瞬間、身を委ねてしまうことを許されたい。


posted by ウエヤマ at 00:57| Comment(0) | エレピ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年09月30日

益田幹夫 / Corazon (1979)

MikioMasuda_Corazon_200.jpg

キャロル・キングの表題曲カヴァーで幕をあけるニューヨーク録音作。デヴィッド・マシューズのアレンジワークも功を奏し、エレガントに包むストリングス隊と、弾力感溢れるアンソニー・ジャクソンのベースにハリのあるバーナード・パーディのドラムによる強固なリズムが、タッチの強弱でしなやかにうたう主役の鍵盤を流麗に装飾しながらガッチリと下支え。安易な楽園ムードとは一線を画す、シカゴの「Another Rainy Day In The New York City」や渡辺貞夫「Samba Em Praia」といったカヴァーでのトロピカルテイストや、自作曲「Let's Get Together」で仄かなスリルをまとったグルーヴを演出するエレピサウンドは、東海岸の強者達と堂々と渡り合う鍵盤奏者としてのさりげない主張を、慎ましやかながらもクッキリとした輪郭で描いている。


posted by ウエヤマ at 00:20| Comment(0) | エレピ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年09月02日

Herb Geller / An American In Hamburg - The View From Here (1975)

HerbGeller_AnAmericanInHamburg_200.jpg

サックス奏者ハーブ・ゲラーの70年代中期らしいジャズファンク色濃いドイツ録音盤は、マーク・マーフィーらをリードヴォーカルに起用しビターな艶やかさを加味しながら、それら楽曲のヴォーカルなしインスト版をも揃えた二枚組。全編ファンキーで軽妙なリズムが粒ぞろいのなか、キレを携えどっしりと鎮座するドラムとベースのグルーヴが印象的な「Sudden Senility」は、中盤、テンポをスローに変化させるコンセプチャルな風貌ながらも、主役ゲラーの奥行きあるサックスが縦横無尽に宙を舞う、これぞジャズファンクの名に相応しいキラーチューン。オランダの強者ローズピアノ奏者ロブ・フランケンのエレピも、隙き間を縫いながらそこかしこに彩りを添え駆け巡る。インスト版を省いたほぼ同内容の『Rhyme And Reason』も米国アトランティックから同年リリース。


posted by ウエヤマ at 00:25| Comment(0) | エレピ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年08月20日

Sharon Forrester / Sharon (1974)

Sharon_ST_200.jpg

待望の初CD化。アルバムジャケットのキュートな佇まいも印象的な、ジャマイカ出身の歌姫が紡ぐ1stアルバムは、ジェイムズ・テイラー「Don't Let Me Be Lonely Tonight」や、ヴァレリー・シンプソンの「Silly, Wasn't I ?」など、バラエティに富んだカヴァーが光る一枚。耳に残るレゲエ調のテイストも、それがことさら強調されるのではなく、ポップな魔法をかけられたスウィートな居心地としてスッと体に馴染んでくる。元ゴンザレスでトリニダード・トバゴ出身のリチャード・ベイリーや、彼の実兄でオシビサの鍵盤奏者ロバート・ベイリーのほか、ジャマイカ出身のフィル・チェン(B)、ジェフリー・チャン(Key)など、英国で活動するカリブ色ゆたかな手練たちの緩急あるバックアップが功を奏した要因かも。ロバートやジェフリーらが奏でるエレピの音色も、みずみずしい彼女の歌声を優しく包みこむ。自作曲「Clothe My Lonely Body」でみせるソウルフィーリングは、ただ可憐なだけでない彼女のポテンシャル。仄かに香る感情表現に、心トキメク高揚がしっかりと息づいている。


posted by ウエヤマ at 01:11| Comment(0) | エレピ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年08月16日

Marlena Shaw / From The Depths Of My Soul (1973)

MarlenaShaw_FromTheDepthsOfMySoul_200.jpg

映画のワンシーンを描くかのように全編を紡ぐウェイド・マーカス指揮による荘厳なオーケストレーションと、コーネル・デュプリー(G)、ヒュー・マクラッケン(G)、ウィルバー・バスコム(B)、グラディ・テイト(Dr)ら東海岸の敏腕による弾力感たっぷりな剛健バッキングの重厚さを、軽妙に緩和しながら彩りを添えるデレク・スミスのエレピ。それらをしなやかに包みこむ豊潤なマリーナの歌声は実にまぶしい。ロニー・ダイソンの「Just Don't Want To Be Lonely」や、ランディ・エデルマン作の2曲「The Laughter And The Tears」と「Waterfall」など、ため息こぼれるカヴァーの解釈にも拍手。2年後世に出る名作『Who Is This Bitch, Anyway?』とは異なる肌合いなれど、ジャズとソウルとポップスの垣根を越える蜜月の萌芽は十分。その序章がここにある。


posted by ウエヤマ at 00:46| Comment(0) | エレピ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年08月07日

Cannonball Adderley / The Happy People (1972)

CannonballAdderley_TheHappyPeople_200.jpg

アイアート・モレイラやキング・エリソンらによるラテンの血肉がゴツゴツとしたリズムの高揚をやわらかく加速。かと思えば、混迷と渾沌を行き交うジャズの水脈がフリーキーな肌触りとともに漆黒の姿をのぞかせる。デヴィッド・アクセルロッドのアレンジ指揮による長尺ナンバー「Savor」は、寡黙に支えるチャック・レイニーのベースや、ワウペダルを駆使し弾力感溢れる生々しいフレーズを連射するデヴィッド・T・ウォーカーのギターとともに、決して表舞台に陣取るわけではなく、主役アダレイのサックスに追いつき追い越しの静かな存在感で絡みつくジョージ・デュークのエレピが、バンドアンサンブルの階層を熱を帯びながら交差。アルバム表題曲のエンディング間際にひっそりと描かれるデュークの跳ねた鍵盤さばきを目の当たりにすると、クールな洪水に沸々とした熱量が宿るトリップ感覚は、決して先の見えない闇ではなく、彩りを待つ躍動の共鳴だと思いたくなる。

---

また一人、偉大な鍵盤奏者が天国に召されました。

R.I.P. George Duke



posted by ウエヤマ at 00:15| Comment(0) | エレピ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年07月08日

Jayson Lindh / Ramadan (1971)

JaysonLindh_Ramadan_200_02.jpg

際立つベースラインが、ギター、ドラム、キーボードを牽引する躍動に、フルートの音色が歌声のように感情表現を重ねる「Loading Ramp」でつかみはOK。スウェーデン出身のフルート奏者のソロアルバムは、北欧民俗音楽的香り漂わす主役リンダのフルートが、揺らぎのアクセントとなって硬軟入り交じりのスピリチュアルテイストと調和するジャズファンク。ボボ・ステントンが淡々と描く「Daphnia」での余韻音少ないエレピの音色は、疾走するフルートの足下を転がりながら沸点を抑制するクールな土台である一方、高揚を加速させる増幅装置としても機能。程よい緊張感を描きながらバンドアンサンブルを力みなくつなぐ潤滑油的貢献を果たしている。


posted by ウエヤマ at 00:19| Comment(0) | エレピ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。