2012年09月11日

バート・バカラック at BBL Tokyo


ステージ中央にセットされたピアノ。
スニーカーを履いた気負いのないスタイルに
どこまでも柔らかなタッチで
時折り立ち上がって鍵盤をたたく姿は
失礼を承知の上であえていうなら
実にお茶目でキュートな佇まい。

気心知れた若き音楽仲間に囲まれたバカラック家で催される
いつもの楽しい宴におじゃまさせてもらったかのような
やわらかい居心地の良さを感じるステージ。

かと思えば、
バカラックの手のひと振りで
全員が機敏に演奏体制に入ったりすぐさま起立したり
仄かな緊張感の香る“バカラック楽団”然とした趣きが
ステージ全体の空気をピリリと引き締める。

そこには気取った雰囲気や洒落っ気を
あからさまに押し出す無粋とは無縁の
きちんと練られたステージングだからこそ感じ得る
厳しさの中にも暖かい眼差しが行き届いた
こころ高鳴る「音楽」しかなかった。

名曲のオンパレードが次々と奏でられ続くなか
ステージ終盤に奏でられた「Alfie」。

複雑に変化するコード展開と
高音部と低音部を何度も上下するメロディラインは
人生の喜怒哀楽、悲喜交々、艱難辛苦を問う
ハル・デヴィッドの普遍的で哲学的な歌詞世界に
「音の連なり」という言語で見事に呼応し
優しく対話してみせたバカラックの
クリエイティヴィティ溢れる心意気だと受け取りたい
思い入れたっぷりの大好きな一曲だ。

だからこうなることはわかってはいたけど
声にならない声を絞り出し
だけど力みを感じさせず
何度となく口ずさんだ日常の一コマのような
サラリとした情感の込め方で弾き語るこの一曲に
何度も何度も震えと高揚が交差し
一ミリも動けず聴き入ってしまう
素晴らしいパフォーマンスだった。

こうやって音楽の遺伝子は
演者と聴き手の双方に
幸せに受け継がれて行くんだな。

胸いっぱいのひとときでした。


posted by ウエヤマ at 02:52| Comment(0) | Live | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年08月15日

やっぱ凄いわ


マリーナ・ショウの来日公演が終了しました。

いやあ、今年も凄かった。。。
ずっとあの空間に浸っていたかったと、つくづく思いました。
皆さん体調も万全でなかったかもしれない中、
素晴らしいパフォーマンスの連続。
また来年も来てくれることを祈ってます。

てなわけで、セットリストとライヴレポートをアップしました!
とはいえ、セットリストといっても毎回違った選曲だったため
順番はあまり関係なく「こんな曲をやりました」という感じです。。。
http://homepage2.nifty.com/ueb/davidt/marlenashaw2012.html

posted by ウエヤマ at 20:59| Comment(0) | Live | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月24日

Bobby Womack at BBL Tokyo


バンドメンバーだけの「Breezin'」で幕を開けたステージ。
その後、杖をついて登場し、
舞台中央の椅子に座りうたいはじめたソウルマン。
そりゃ体力的にも年齢的にも、
いろいろあるだろうとちょっと心配になったけど、
序盤早々に、杖を無造作に放り投げ、
メンバーともやりとりを交わし観客もあおり、
ポケットに片手を突っ込みながら、
やんちゃでギラギラとした香りをプンプン漂わせ、
「これがオレの歌だぜ!」とばかりに立ち振る舞い、
あのシャウト、あの節回しで
歌い奏でる姿は紛れもなく、
やっぱりあのソウルマンだった。

総勢11名の大所帯を暗黙に指揮しながら
時折りメンバーをフィーチャーする姿に、
面倒見のいい親分肌の余裕と深みが見え隠れする。
僕が見たステージでは、
最後までギターを手にすることはなかったけど、それは、
同行した若きギタリストの心意気への
「お前に任せたぜ」っていう
期待と激励なんだと受け取ることにした。

それでもやっぱり、
「That's The Way I Feel About Cha」や
「If You Think You're Lonely Now」では、
脳裏にDavid Tの姿が重なり、
ゴスペルフィーリング溢れる女性コーラスとの一体感に、
目の前で繰り広げられる生演奏ならではの高揚が迫った。
ダークにリアレンジされた
「If You Don't Want My Love」のフレーズや、
「A Change Is Gonna Come」の歌い出しの瞬間、
体中をゾクゾクっとした刺激が巡った。
サム・クックだけじゃない。
マーヴィン、オーティス、スライの姿を思い起こさせる
幾つものエッセンスをちりばめ、
「忘れるんじゃねえぞ」とばかりに分かち合おうとする姿に
豪快な親分の、親しき友と師匠への
粋で、ホンの少しセンチメンタルな
揺るぎない眼差しを見た気がした。

どれもが刻印入りの名曲たちを間髪入れずにうたい、
時折り立ち上がって見せる自由奔放なパフォーマンス。
溢れ出るのは涙ではなく
緩んだ頬とともにこみ上げる
胸の高鳴りだったんだ。

ボビー・ウォマック。
さすがのソウルマンだぜ!

posted by ウエヤマ at 23:00| Comment(0) | Live | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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